ラクトフェリン研究室

ラクトフェリン研究室:研究テーマは「ラクトフェリン」。その研究過程から「脂質異常」に関する発見があり、「内臓脂肪」の健康研究が始まりました。
ここでは研究により発見され、ライオン製品開発のカギとなっている技術・研究成果を紹介します。

研究ストーリー 歯周病菌の研究からメタボリックに効果のあるタンパク質を発見!

メタボリック症候群(メタボ)とは

厚生労働省の調べによると「メタボリック症候群(メタボ)」該当者数は、40〜74歳(対象人口約5900万人)で約1120万人、予備軍を合わせると、約1990万人に達しており(注1) 、ダイエットで悩む方など、国民健康の増進にとって、大きな課題となっています。
メタボリック症候群(メタボ)における、脂質異常、高血糖、高血圧などの共通原因は「内臓脂肪の蓄積」であり、内臓脂肪減量により確実な予防効果が期待できる症候群と言われています。

(注1)「平成23年国民健康・栄養調査」より

歯周病研究からの新発見

ライオン(LION)では、1964年の歯槽膿漏予防ハミガキ『デンターライオン』発売以来、長年にわたり歯周病に関する研究を行う中で、2006年、歯周病菌から出される、歯周病の進行に関わる毒素「LPS」(リポポリサッカライド)が、動物の乳に含まれている多機能タンパク質「ラクトフェリン」によって不活性化されることを、遺伝子解析により確認いたしました。 一方、歯周病は歯を失う以外にも、生活習慣病などの全身健康へのリスクについても疑われており、ライオンは、歯周病研究の一環として、歯周病と全身健康との関係について幅広く研究を進めてまいりました。その結果、「LPS」が血中に入ると、体内でのコレステロールや中性脂肪の合成・分解にかかわる酵素の量に影響を与え、メタボリック症候群の因子の一つである脂質異常を引き起こすことを、遺伝子解析により確認いたしました。
さらに、歯周病におけるラクトフェリン(注2)の「LPS」不活性化効果に着目し、この度、脂質異常に対するラクトフェリンの予防効果についての研究を進め、その有効性を確認いたしました。

(注2) ラクトフェリンは、母乳に多く含まれる(特に初乳)が、一般的には、牛の乳を精製して得られる。鉄と結合するタンパク質であることから、「ラクト=乳」に含まれる「フェリン=鉄結合」が名前の由来である。

歯周病研究から生まれた「メタボリック症候群(脂質異常)への成果」

1)歯周病菌毒素「LPS」がメタボリック症候群を誘引(2005年3月、国際歯科研究会(IADR)にて発表)

肥満度の高い人ほど歯周病の罹患率が高い傾向にあるなど、近年、歯周病とメタボリック症候群など全身疾患との関係について、様々な研究が行われています。ライオンは、歯周病菌由来毒素「LPS」に着目し、その全身疾患への影響を確認するため、歯周病菌の「LPS」をマウスに投与し、血液中の脂質量の変化を測定しました。その結果、投与後約16時間経過した時点において、血液中の総コレステロール量や中性脂肪量の上昇が見られたことにより、LPSによる脂質異常誘引作用を確認しました(図1)。これは、歯周病により発生したLPSが血中に入り、血液を通して全身に回ることにより、脂質異常が全身症状として引き起こされたものと推察されます。

図1)歯周病菌LPSの脂質異常誘引作用 血中総コレステロール量 図1)歯周病菌LPSの脂質異常誘引作用 血中中性脂肪量
2)乳由来成分「ラクトフェリン」が「LPS」によって引き起こされる脂質異常を予防

ラクトフェリンの『LPS不活性化効果』が「LPS」によって誘引される脂質異常に有効かを確認するため、マウスに4週間1%ラクトフェリン水溶液を与えた後に歯周病菌の「LPS」を投与し、血液中の脂質量の変化を測定しました。その結果、ラクトフェリンの投与により血液中の総コレステロール量、中性脂肪量の増加がラクトフェリン非投与群と比較して、有意に低く抑えられることが見られました(図2)。この結果から、ラクトフェリンは「LPS」により誘引される脂質異常を抑制することが示されました。

図2)ラクトフェリンの歯周病菌由来LPSによる脂質異常に対する予防効果 血中総コレステロール量 図2)ラクトフェリンの歯周病菌由来LPSによる脂質異常に対する予防効果 血中中性脂肪量
3)高コレステロール食モデルにおけるラクトフェリンの脂質異常予防効果

LPS以外の要因で引き起こされる脂質異常に対してラクトフェリンが効果を有するか検証しました。マウスに高コレステロール飼料を8週間摂取させ、同時に1%ラクトフェリン水溶液を投与し、血液中の脂質の変化をラクトフェリン非投与群と比較しました。その結果、ラクトフェリンを投与した群では、総コレステロール量の上昇幅が、非投与群に比べて、有意差をもって低く抑えられました。これにより、ラクトフェリンには、LPSによる脂質異常予防効果だけでなく、高コレステロール食による脂質異常をも予防する効果が存在することが明らかとなりました(図3)。さらに、遺伝子解析手法の結果、ラクトフェリン投与群は、非投与群と比べ、コレステロール合成系酵素の働きが減少し、コレステロール分解・排出系酵素の働きが増していることを、世界で初めて確認しました。

図3)マウス高コレステロール食モデルにおけるラクトフェリンの脂質異常予防効果 血中総コレステロール量

以上のことから、多機能タンパク質ラクトフェリンには、メタボリック症候群発生因子の一つである、高脂血症等の脂質異常に有効である可能性が示唆されました。

次は・・・ラクトフェリンの効果検証1 多機能タンパク質ラクトフェリンの効果

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